もじゃトラックス

パンツーラの楽しさはコレオで爆発する

ダンスの、ある程度の長さのある一連の振り付けのことをコレオグラフ(以下コレオ)と言う。特にストリートダンス界隈でよく使われる用語っぽい。パンツーラのクラスでもコレオを教えている。パンツーラにとってコレオが大切すぎるので、それについて書こうと思う。

そもそもコレオとは

ダンサーにとってのコレオは、バンドにとっての曲、漫才師にとってのネタ、役者にとっての演目のようなもので、人に鑑賞してもらうための、ひとまとまりの作品のことだ。今は動画の時代だから、ダンスの名前で調べればいくらでもコレオが見られる。2人以上で同じ振りを踊ってたら、それがコレオだ。

コレオの存在意義

コレオは鑑賞用の作品であり、あらかじめ決められた振りを、みんなで合わせて踊って、面白さや感動を与えるものだ。そのダンスで何が表現したいのか?の分かりやすいアウトプットでもあり、初めてそのダンスを見る人にとっては、これがハウスダンスなんだ、ヒップホップなんだ、という一つのサンプルになる。

ダンスは土地と切り離せないもので、文化の体験という意味合いも大きいから、現地の人たちの雰囲気まで伝えられたら最高だよね。そんなエゴというか望みを持ちつつ、パンツーラのコレオを作ったりしている。

パンツーラダンサーとコレオ

さて、パンツーラにとってはコレオはどういう位置づけなのか。もともとパンツーラは「国と敵対しても自分たちであり続ける」っていう自己表現と主張のダンスだから、身体・音楽・ルーツ・仲間・生活…すべてを一体として見せられるコレオは、他のダンスにとってのそれよりだいぶ重要性は高かったんじゃないかな。パンツーラ独特の細かくてキレのある動きは、合わせて踊ることで映えるというのもある。

だから、Pantsula(パンツーラ)をYoutubeで調べると分かると思うけど、2人から10人ぐらいまで、チームで合わせて踊っている動画が多い。現地で見ていた感じでは、チームやユニットごとに「持ちコレオ」があって、それを長く大事にしてそうだった。だから体にしみ込んでいる。新しいものを次々作るというよりは、今あるものを修正したり、より長くしたりと、メンテナンスしながらやっていて、そうして生まれる「自分たちだけの動き」はとても完成度が高い。現地の人たちのコレオを見ていると、畏怖の念を抱いてしまう。

初心者こそコレオを踊るべき!

さて、そんなわけで、パンツーラダンサーにとってコレオは華であると同時に日常でもある。一般的には、コレオはいろんなステップや動きを盛り込んだ作品なので、基礎ができた後にチャレンジするものと考えられがちだけど、パンツーラではコレオをやって初めて分かる楽しさ、面白さが大きすぎるので、クラスでは基礎と同じぐらい、コレオも並行して教えていきたい。その楽しさの核は、[動きとリズムの相乗効果]だ。

体からリズムが生み出されるという体験

パンツーラを踊ってる動画を人に見せたら、「よくこんな長くて複雑なのを覚えられたね?」と時々言われるので、「確かに、なんでだろう?」と考えて気づいたことがある。それは、自分は始めから全部の動きをイメージできているわけではなく、瞬間瞬間でステップ同士の紐づきをなぞっているだけだということだ。

ちょっと脱線するけど、折り紙を折るとき、折る前の今の形を見れば、次の手順が思い出せたりするじゃない。一つ一つの動作は「折る」だけで、目の前の形に反応しながら手を動かしてるだけなのに、立体的な鶴が出来上がる。

あと、「ポケモン言えるかな」覚えた人は分かると思うんだけど、ピカチュウ カイリュー さえ言えたら、オコリザルまで150匹歌うのは結構簡単だ。でも、実は700文字以上のお経を唱えているのと同じぐらい、大変なことを成し遂げている。

そういうのと同じで、例えばステップA⇒ステップB⇒ステップCという流れは、ステップAをやっているうちにBが思い出される、そしてBをやるとCが思い出される、という順序で体と頭が反応してるだけ。最初から、ABCの塊をやるぞ!というイメージはなくて、「今はこれをやってる、次はあれをする」の連続があるだけ。パンツーラって面白くて、見た目や動きで思い出すのは折り紙と似てるし、動きにくっついてるリズムのフレーズのおかげで音楽的な面白さで思い出せるところは、「ポケモン言えるかな」と似ている。

踊っている最中の動きとリズムには相乗効果があって、動きがリズムを、リズムが動きを、強固に安定させている。だから、カウントを意識せずに、どんな曲のどこからでも踊り始められる。どこでどんな動きになるのかは踊っていて初めて分かるので、踊るたびに「ここが合うのか!」という感動が得られる。踊ってる本人なのに、鑑賞者みたいに楽しめる自分もいるという感じだ。

これは、ある程度長いコレオ、不規則な振りを覚えないと味わえない。この面白さがあるから、現地の人も、息長くコレオと付き合えるのかもしれない。

まとめ

一息で言うと、動きはその場その場で自動で思い出してて、その動きには、不規則だけど気持ちいいリズムがくっついていて、それが曲と合って、毎回めっちゃ楽しい!という感じ。決まりきったことをやってるのに予定調和じゃない。そこがいいのよ!

はい。もう今回は、ちゃんと伝えられた自信があまりないんだけど、なんでパンツーラのコレオを踊ると面白いのか、自分が読んでみたい思いもあって書いてみた。でも、やっぱり体験するのが一番。いいコレオ用意してるので、ぜひクラスに来てみてください。

あと、先日のパンツーラクラスで、初めて来てくれた人がいいこと言ってくれました。いわく、「自分のやってきた動きと違い過ぎるから、考えたら動けない。頭で考えるのやめた。これがパンツーラなんだと、そのまま飲み込むことにした。とにかく真似しようとした。」

この感想はとても嬉しかった!考えずに、リズムを口に出して、とにかく真似しましょう。動きが合う、という原始的な楽しさを味わいましょう。その積み重ねの先に、とっておきの、わけのわからん楽しさが待ってますよ!

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現地で習ってて一番楽しかったコレオ↓

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