アフリカンサークルにおけるワケありリズムの話


こんにちは。もじゃです。

アフリカンではリズムがベースとなるので、ダンスの振りもリズムに紐づき、太鼓のフレーズもリズムごとに存在します。
するとよく起こるのが、あるリズムについて
「ダンスのネタはあるけど太鼓が叩けない」
「太鼓のネタはあるけどダンスを知らない」
という事態。

そんな不遇なリズムを「ワケありリズム」と呼びたいと思います。
アフリカンサークル・タリベでの僕が叩いていた時期のワケありリズムを紹介しましょう。

ドゥンドゥンバ

ドゥンドゥンバはギニアのダンスチューンの筆頭で、太鼓を叩くのも病みつきになる、超楽しいリズム。
ただし、叩くことができたときに限ります。
ってどんなリズムでもそうなんでしょうが、ドゥンドゥンバは特別に難しいのです。

興味のある人はグーグルで「ドゥンドゥンバ」と検索してみると、色んな人のドゥンドゥンバに対する想いが見れて面白いですよ。

ドゥンドゥンバにはドゥンドゥン・サンバン・ケンケニという、バチで叩く3つの太鼓が必須です。
その特徴は、リズムの多さと、コツを掴むことがとても難しい筒同士の独特な絡み。
ドゥンドゥンバというのは一つのリズムのことではなく、あるパターンのケンケニという太鼓のフレーズを共有する色んなリズムの総称なのです。
僕はドゥンドゥンバをまともに叩いてこなかったのですが、それでもパッと思いつくだけでもドゥヌンベ、バダ、ボロコノンド、コノウレン、タコサバ、タコナニ、デムソニケレン、コンデン、カダンなど、こんなに出てきます。

こんなにたくさんのリズムを持ち出さなくても、一つのリズムのアコンパ・ショフマン・コール・アコンパ※のループだけで何度も挫折してしまうようなリズムです。

※用語解説
アコンパ:伴奏。一番通常モードの演奏
コール:合図のフレーズ。ドゥンドゥンバの場合はサンバンが出す。
ショフマン:演奏が盛り上がる部分

難しすぎて太鼓を叩けるメンバーがそろわず、ダンスと一緒になかなか楽しめない。
リズムの種類が多すぎて、ダンサーが習ってきたダンスとドラマーの叩けるリズムがなかなか一致しない。
その結果、ダンスがあっても伴奏のレパートリーを知らず、コンパクトにしか楽しめない。

ドゥンドゥンバは大人のアフリカン会でこそよく楽しまれるリズムなのですが、学生たちには敷居が高かったのです・・・

しかし、その中でも出演によく使っていたリズムが一つだけありました。

そのリズムの名はカダン。
特徴は3つ
・ケンケニ以外の太鼓が日本人にも分かりやすいパターンを刻んでいて、無理なく叩ける
・歌がとてもキャッチーで楽しい
・とってもとっても面白いキメ(みんなで一斉に叩くフレーズ)がある

カダンは「未熟でもなんとか叩けて楽しいドゥンドゥンバ」としてタリベでは特別扱いだったのです。

ただし、カダンには「これがカダンだ!」というダンスのネタはありませんでした。
他のドゥンドゥンバの振りを合わせることはできたのですが・・・

出演ではダンスはつけず、オープニングでさらっと流すような使い方をしていたと思います。

マリリズム全般

西アフリカのジェンベを使った音楽で日本でも最も叩かれているのは、ギニアのマリンケ人やスス人由来のリズムだと思われます。
タリベでもギニアのリズムのネタは多く、主にそれを楽しんできました。
しかし、あるときメンバーの一人がマリツアーに参加したことをきっかけに次々とドラマーがマリへ渡航し、マリリズム熱が起こった時期があります。
僕もマリのリズムに魅了された一人です。

そうしてドラマーがマリマリし出したのですが、マリダンスを主に教える人は関西にはほとんどいませんでした。
関東でダンスを習ってきてくれたメンバーのおかげである程度楽しめていましたが、絶対量が少ないこともあり、他のリズムのようにみんなで思いっきり楽しむということがなかなかし辛い、という渇望感を抱えながらやっていました。

思うこといろいろ

以上、大雑把に2ジャンルを紹介しましたが、他にもいくつものリズムがネタ不足の憂き目にあいました。

特にダンサーはドラマーが太鼓の演奏がなければ踊る前提条件が揃わないため、ドラマーより不利な立ち位置にあります。
例えばダンサーが踊りを知らないリズムをドラマーが大好きだった場合、ドラマーが叩いて楽しむのをただ眺めるという事態になり兼ねません。
逆にダンサーが踊りを知っているリズムをドラマーが知らない/叩けない場合、そのダンスレパートリーはお蔵入りになる可能性が高まります。

好きなリズム、習ったことを満足にみんなで楽しむことができないというのは切ないです。
アフリカンをできている以上、これは贅沢な悩みなのですが・・・

思うようにリズムのネタをそろえてみんなで楽しむためには、そのリズムを教えるクラス・先生に巡り合うための個人の努力や運が必要でした。
ダンスも太鼓もネタが揃い、みんなで楽しめるまでに上達するというのは幸せで貴重なことだったのです。

以上、もじゃでした。

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