サバールダンスが踊れるようになったので振り返ってみる


こんにちは。もじゃです。

4カ月ぐらい前からアフリカンダンスを本格的に習い始めています。
せっかくダンスを始めたから何でもやってみようということで、それまでなじみの薄かったサバールダンスにも挑戦してみました。
それが一つの出演を迎えて一区切りしたので感想を書きます。

サバールに対して見て見ぬふりをしてきた

アフリカンを始めてからの8年間、ずっとサバールに対しては距離を置いてきました。
ギニアとマリの太鼓はできるのに、なぜサバールに手を出さなかったのか?
その理由は大きく分けて2つでしょう。

1.ネタを習う機会と仲間が少ない
ジェンベを使うマリやギニアの太鼓と比べて、の話です。

サバールとジェンベ音楽は楽器も奏法も大きく異なります。
ジェンベ音楽は素手で叩く砂時計型の太鼓[ジェンベ]とバチで叩く筒型の太鼓[ドゥンドゥン]で構成されていて、ドゥンドゥンは大中小の3種類あって・・・
と、スタンダードな形が分かりやすい。

でも、サバールは[ンデール]と[チョール]と[ブンブン]と[タルンバット]と・・・
見た目には似たような太鼓がたくさん並んでいます。
奏法についても、全部[片手に木の枝、もう片方の手は素手で叩く]という同じ形。
だから、何が起こっているのか分かりづらい、再現しづらい。

愚痴みたいになってしまいました。

違うだけ、分かりづらいだけなら習えばいいじゃんという話ではあるのです。
知ってしまえば上に述べた違いだって本当は大したことないのでしょう。

しかし、そこに立ちはだかるのがサバール人口の少なさ。

サバールは、太鼓もダンスもジェンベ音楽に比べると愛好家が少ないです。
サバールをやるときに日本人ドラマーだけでやっているのを見たことありません。
習う機会もジェンベに比べて格段に少ない。

仲間がいない。
日本人だけでできる!とならない
⇒やらないでいいか

となってしまうのです。

2.太鼓の難易度が高い
サバールはダンスの重要度がとても高いです。
ダンサーがいない状態で叩かれることはない(はずです)し、太鼓はダンスを表現するという至上目的のために叩かれます。
自分のダンスを始めてから締めるまでの全ての主導権がダンサーにあり、太鼓をどのように叩くかはダンサーが導きます。

ギニアやマリのリズムと違って、サバールには「ダンスがなければやる意味自体がない」
そういうところがあります。

サバールは振りを繰り返して長く踊り続けられるダンスではなく、展開が次々に変わり、一瞬一瞬に全てを投入する短距離走ダンス。
太鼓も、ダンスのキレのある振りに合うように「ズパッ!ザンッ!」と鋭くバカでかい音が出るようになっています。(擬音語の限界を感じる・・・)

なおかつ、なまっていて周期の短いリズム。
[なまっていて周期の短いリズム]を個人的に「渋いリズム」と呼んでいるのですが、サバールのリズムはかなり渋いです。
これがダンスの一瞬一瞬を際立たせる・・・ような気がします。

ソリスト(ダンスにソロを付ける人)はダンスを知り尽くして、ダンスに合わせてちゃんと叩けないといけない。
伴奏もダンスの要所要所で全員止まったりと、気が抜けない。

これは難しいでしょう。

サバールを楽しむときには大体セネガル人ドラマーを呼んでいるようです。
今回の発表もそうでした。
有り難いことですが、その手間を思うと頭が下がります。

以上、
[ネタを習う機会と仲間が少ない]
[太鼓の難易度が高い]
これらの理由で、サバールドラムは簡単には始められない。
そして、「叩けないなら距離を置こう」という心理になってきます。
サバールはずっと、マリ・ギニアのジェンベメインの音楽をやっていた僕のスコープ外の音楽だったのです。

数カ月前にサバールダンスを習うと決めたことで、「やっとサバールのことを知れる!」と嬉しかったのを覚えています。

難しくても一歩一歩着実に。そして発表

最初はお試しのつもりでした。
ダンスが難しいことは見て取れたので、ダンス初心者である自分が満足に踊れるのかという
いや、「一通り踊り通す」ことがまずできるのかという不安がありました。

しかし、今回習ったファティマタ先生の教え方は理屈重視。
セネガル人が感覚でできてしまうところを解きほぐし、サバールがどんな要素で構成されているか、どこを基準にして踊ればいいのかを口太鼓と言葉で説明し、CD音源でひたすら実践。
できなければまた違うアプローチで説明。そしてまた実践。
そして、頻繁に取られる自主練タイム。
先生は観察モードになり、「自分で思い出して、やりたい練習をやってみそ」っていう突き放し系の時間です。
サバールはダンサーが主導のため、自分で選んでつなげていろいろできると楽しみが倍増します。
この練習が一番役に立った気がします。

頭(言葉)と意志と体の三方から攻めてどんどんできるようになっていく感じで新鮮でした。

発表会はかなり満足のいくデキ!
・・・と思ったのですが、何度も見返すと反省点だらけ。
「悔しさもサバールの醍醐味」だそうです。

ジョイマンみたいなのが僕です。
ジョイマンはやり遂げました。
存分に楽しみました。

太鼓とダンスのコミュニケーション。
ダンスする瞬間に向かって太鼓が一つになること。
よく考えてみると、これは数々の音楽の中でもマンデの音楽をやる目的の一つでした。
サバールはそこを鋭く突いてくるダンスでした。
実に楽しかった。

思い込みが最大の敵。挑戦して良かった

4カ月のダンス生活全体では、サバール以外もとても楽しんでいます。
ダンスは8年続けた太鼓と同列・・・いや、純粋な楽しさではちょっと上ぐらいにきてしまいました。

アフリカンのトラディショナルも、サバールも、アゾントも、ダンスホールも、パンツーラも
下手したら見たこともないようなものもやってきましたが、全部とても楽しかった。
(やりすぎるとお金はなくなりますが・・・)

サバールドラムが分からない、習えないことにひきづられて、もしも一生サバールダンスの方をも避け続けていたとしたら、この楽しみは得られなかったわけで、それは自分的にはとてももったいないことでした。
やってみた今だから分かることですが・・・

不得意かもしれないことに飛び込んでみることで最高に楽しい経験ができた、ということ。
新しいことにチャレンジして、自分にとっての思いがけない[最高]を引き当てること。
この幸せは最近大きいです。

それを感じさせてくれるアフリカンにもっと広まってもらって、日本全国のどこでもこんな経験ができるようになってほしい。
そのために僕にできることをやっていきたいという気持ちを新たにしました。

実はこれを書いているまさに今、知り合いから「千葉でサバール教えている人はいないのか」と聞かれたのです。
とりあえず、心当たりを伝えてみました。

「有り難い」ことを「ありふれた」ことにしていきたい。
そして、ゆくゆくはサバールドラムもやるのです!

以上、もじゃでした。

アフリカンのサークル・クラスのリンク紹介2017

難しさを楽しもう!サバールダンスを3カ月やって思ったこと