こんにちは。もじゃです。
西アフリカのジェンベを使った音楽は、ギニア・マリ・コートジボワール・ブルキナファソなど国ごと・地域ごとに特色があり、リズムや演奏の仕方が大きく異なります。
僕は自分の歩み的にはマリリズムに傾倒してきた感があります。
ただし、日本での流行ってる具合で言うと、主観ですが
ギニア:マリ:コートジボワール:ブルキナファソ
↓
30:5:1:1
ぐらいでしょうか。
ギニアが圧倒的で、その次にマリ、後はまだごく一部・・・という感じに見受けられます。
(まだほかの国のジェンベ音楽もあるのでしょうが、接したことがありません)
今回は、僕がマリのリズムを好きになった経緯とその良さを話します。
マリツアーに行った先輩から始まった
マリリズムとの出会いは、僕が大学のアフリカンサークル・タリベに入って半年ほどした頃でした。
入った当初はギニアのリズムが主に演奏されていましたが、一個上のタローさんという先輩がマリツアーから帰ってきたのです。
タローさんはバラフォン(西アフリカの木琴)とカスンケという筒太鼓を習って帰ってきました。
ちなみに、そのツアーは大体毎年2月頃に企画されて、今年も今まさに(2017年2月)行われているTDFマリツアーです。
バマコというマリ共和国の首都でマリの音楽を習うことができます。
タローさんと現地でバトンタッチする形で、タクミさんという先輩もマリへ行きました。
タクミさんはジェンベとコラ(西アフリカのハープ)を習って帰ってきました。
持ち帰られたリズムはマラカ・ダンサ・サンジャ・スヌ。
彼らから色々共有してもらって一緒にマリリズムを叩くうちに、マリリズム独特の要素が好きになっていきました。
マリリズムの特徴
1.コンゴニとソロフレーズの結びつきが強い
僕はジェンベのソロフレーズマニアで、それまでもいろいろ集めたりしていたのですが、マリリズムは特にリズムとソロフレーズの結びつきが強いように思います。
あるリズムの核になるのはコンゴニという太鼓で、コンゴニは常に一定のパターンを刻みます。
そのコンゴニに狂気的に執着している人がジェンベのソロフレーズを作ったかのように思えます。
ソロフレーズによって、そのリズムのコンゴニパターンをいろんな角度から理解しようと努めているというか。
コンゴニの存在を確かめて確かめて確かめ尽くすみたいな。
ジェンベ「このフレーズを叩いていれば、キミ(コンゴニ)はこのあたりにこう来るよね・・・? ほら、来た!来てる来てる!うむ!」みたいな。
また、ジェンベだけで叩くとなんの変哲もないように思えるソロフレーズが、コンゴニと一緒に叩くことで「そのフレーズである意味」を持ったりします。
例えばマラカの最も定番のソロフレーズ「ドカトトカカドカトトカカ」は、前半6音と後半6音が同じですが、ここにコンゴニが絡むことで「前半と後半に意味の違いが生まれて、12音で一つのソロフレーズとなる」のです。
それはつまり「コンゴニを実は表現している」という演奏です。
リズムの根本を楽しんでいるということとなり、とてもやりがいがあるわけです。
(音声を用意しておらずすみません・・・)
余談ですが、このフレーズはマリツアーの企画者でもあるTDFのタクミさん(タリベのタクミさんとは別人です)にマラカを教わったとき「マラカのソロフレーズはこれだけでも十分だと思っている」とおっしゃったほどのイチオシフレーズです。
このようにジェンベとコンゴニは寄り添いあって、目的を同じくする仲間、相思相愛関係にあるのです。
他の国よりテンポがゆったりしているリズムが多いことも、それを味わうのに一役買っている気がします。
2.歌・物語っぽい
次に、ソロフレーズ自体の魅力があります。
マリのリズムはギニアやコートジボワールと比べてゆったりしていて、ソロフレーズにもあまり速くて難しいものは少ないです。
その代わり、間隔を大胆に広くとったり、低めの音を強調するなど、”存在が薄めのもの”に対して存在感を与えるようなフレーズが多いです。
あと、「なまり」。
きっちり譜面で表せないようなニュアンスがたくさん出てきます。
これらの要素から、「味がある」と感じることが多いのだと思います。
その土台があっての
・定番フレーズを何回か派生させて使いまわす
・コンゴニと戯れることで一貫性が生まれる
⇒フレーズごとのつながりや前後関係が生まれる
その結果、
・会話っぽい
・歌っぽい
・物語っぽい
といった印象が生まれている!
と思うのです。
まあ、実際はこんな細々したことを考えて作っているわけでも演奏しているわけでもないと思いますが、要素を挙げていくとこんな感じかな、というところです。
3.最後はアフリカンならではのスペクタクル!
マリリズムではカスンケドゥンドゥンという筒太鼓を使います。
西アフリカではジェンベでソロを叩くというのが一般的なのですが、カスンケは筒太鼓なのに、吊って叩けるので前に出てジェンベと同様にソロを叩いてしまうのです。
これがまたジェンベのソロと合うんです。
テンポが上がって、カスンケとジェンベが盛り上げる結婚式のハイライトは圧巻です。
一瞬一瞬のダンスに対して衝撃と音圧をぶっこむ感じ、サバールを思い起こさせます。
こんな演奏でダンスソロをつけたいし、マリダンスも踊ってみたいものです!
ひとしきり盛り上がると、ゆったりテンポで雰囲気を整えてまたダンスでアゲる、というのがよくある流れです。
マリリズムは出演しやすかった
マリリズムがタリベで流行った背景には、出演での扱いやすさもありました。
・テンポ変更のダイナミクスがあるという前提
・カスンケの音が盛り上げ効果大
・筒太鼓も含めてドラマーが自由に動けること
⇒見ていて飽きない迫力ある演奏、ダンスを見せやすい
・ドラマーとしては最低ジェンベとコンゴニの2人がいればよく、少人数編成に向いている
⇒練習しやすい、出演を受けやすい
出演の都合がつく人数が多ければギニアのリズム、少なければマリのリズム、という形での選択肢ができました。
より自由にアフリカンを楽しめるようになったのです。
僕とマリリズム
僕はソロフレーズマニアだったこともあり、在学中に自分もマリに行ってジェンベとカスンケを習いました。
タリベではマリばっかりやっていたわけではなくギニアのリズムもずっと並行して楽しんできましたが、東京ではマリリズムをやっている人と叩けるのが嬉しすぎて、マリリズムに傾き気味です。
ただ、もともと大きな一つの文化圏だったという点では、ギニアもマリも一緒。
知らないから語れないだけで、ギニアのリズムもがっつりやったらもっと面白いだろうし、ぜひ行ってみたい!
というか今はもうセネガルもガーナもガンビアもブルキナもコートジも全部やりたい!
自分は結局どの方向のスタイルを取り入れていくのか、今もよく悩んでしまいます。
ただ、アフリカンの楽しさを引き上げてくれたマリのリズムが特別に好きなことは確かです。
もっと太鼓を学びたいので、またマリに行くことを決めています。
今後もずっと関わっていくと思います。
以上、もじゃでした。