嫌いなものに目を向けるといいかもしれない


こんにちは。もじゃです。

先日の記事で、マリリズムが好きだという話をしました。
今回は、好きでなかったリズムについての話です。

マリの初心者泣かせリズム、サンジャ

マリリズムの中にサンジャという初心者泣かせのリズムがあります。
コンゴニという太鼓が”テンテーンテテン”を繰り返し叩きます。
ンテーンテテンンテーンテテンンテーンテテンンテーンテテン
というように聞こえます。

これがどう初心者泣かせかというと、油断するとすぐに「ひっくり返る」という現象が起こるところです。
「ひっくり返る」というのは、「自分の中でのリズムの頭がずれてしまい、違うリズムに聞こえてしまう」という現象です。
アフリカンのリズムは短い周期のシンプルなフレーズの繰り返しです。
そのため、裏拍を強調するリズムだと特に、そちらを頭に取ってしまうことがあります。

ひっくり返るとこう聞こえます。
ーンテテンテンーンテテンテンーンテテンテンーンテテンテン
“テーンテテンテン”の繰り返しですね。

カウントで言うと、もともとのリズムはこうです。
1 2 3 4 1 2 3 4 
テンテーンテテンテンテーンテテン
1、3が表拍で、2、4が裏拍です。
2と4にぴったり「テ」が来ているのが分かるでしょうか。
裏の音の方が多いのです。
しかも2の「テ」は「テーン」なので長いです。

このことから、2を1だと勘違いして、こうなります。
1 2 3 4 1 2 3 4 
テーンテテンテンテーンテテンテン

鳴っている音は変わらないのに、自分には正しいリズムが聞こえない。

一度こうなってしまうと、それを正すのは、すごく大変なのです。
最初は正しく聞けていても、「ひっくり返り」は突然訪れます。
それを正せなければ、合図やソロを叩くなどしてリズムを引っ張っていくことの難易度は跳ね上がります。

アフリカンサークル時代は「ひっくり返ってもそのまま無理やり最後まで叩く」という技を身に着けたり、「リードフレーズ(ダンスに合うソロフレーズ)を理屈ではめ込んで、口と手でひたすらそれを叩き続ける」という矯正方法を開発したりと、なかなか涙ぐましい努力をしていました。
それだけ、ひっくり返りさえしなければ魅力満載のリズムでもあったのです。

僕はこのひっくり返り現象を克服する過程で、サンジャにますます愛着を持つようになりました。

とばっちりのランバン

ところでギニアには、ランバンというリズムがあります。
ランバンは”テーンテテンテン”というリズムの繰り返しです。

・・・ひっくり返ったサンジャなのです。
ちなみにダンスも心なしか似ています。
歌も同じようなものを歌います。

明らかに起源が同じリズムを、ギニア人は”テーンテテンテン”、マリ人は”テンテーンテテン”と捉えてそれぞれ発展させていたのです。
このことを知ったとき、マリ好きとしてはランバンに偏見を持つようになりました。
「今にもひっくり返りそうな強い裏拍を感じながら叩けるサンジャこそが至高!それをひっくり返らずに叩き続けられることがアフリカン的!ランバンなど子供騙し!」
のような感じです。

たまにランバンを叩く機会があっても、あまり楽しめませんでした。
「テンテーンテテン」のサンジャが正しい。
「テーンテテンテン」はサンジャの成り損ない。つまらない。

その思い込みはランバンの存在を知った6年前ぐらいからずっと続いていました。

ランバンとの衝撃の再会

しかし2週間ほど前、ランバンを久しぶりに叩いたとき、その偏見は消えました。
その要因は、初めてランバンのサンバンを叩いたことでしょう。

※サンバンは太鼓の名前です。
ランバンで言えばまさに”テーンテテンテン”を叩くもので、いつでもそのリズムの一番核になるフレーズを叩く太鼓です。
紛らわしくてすみません。

サンバンで叩くランバンは、それまでのジェンベでの参加とは違ってスリリングで、熱く、面白いものでした。
ドゥンドゥンとの絡みも、ダンスに合わせるのも。
サンバンは最初から終わりまでずっと「テーンテテンテン」なのですが、それで最高に楽しい。

なぜギニア練習会でたまにランバンが候補に挙がるのかわかりました。
めちゃくちゃ良いです、ランバン。

昨日ジェンベでも叩いてみると、とても楽しめるようになっていました。
今までごめんなさい、ランバン。

嫌いなものに目を向けよう

この体験の教訓は、
“自分の以前に下した評価はあてにならない”
ということでしょう。
“レッテルを貼ることはもったいない”とも言えます。

なんだか、そういうと当たり前に聞こえますね。
「ランバンだけはないわ」と強く思っていたので本当に衝撃だったのです。
それはサンジャの呪いでしかなかったのです。
サンジャのせいにしたらダメですね。
僕の思い込みです。

以前ダメだと思ったものをもう一回やり直してみることはきっと大事です。
自分は以前と比べて変化しているものだし、今回のように別のアプローチがきっかけで好きになれるかもしれない。

僕は最近チャレンジチャレンジとよく言っていますが
「嫌いなもの・興味のないものはチャレンジの候補に挙がってこない」
ということに居心地の悪さを感じていたところでもありました。

たまにはそういった、試す機会に恵まれないものに目を向けていこう。

以上、もじゃでした。

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